草香江ヨガ

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放牧

2017/01/07

今朝のクラス前、身体のケアから派生して病院とかお医者さんの話で生徒さんたちと盛り上がったんだけど、その中でとても素敵な話が聞けたのでご紹介。

Yさんは数年前に心臓の手術をした。

退院時、Yさんはこれからどのようにして日常生活に戻ったらいいのかと不安で、担当医の先生に尋ねた。何をしたらよくて何をしたらダメなのか。

心臓は大きく命に関わる場所だから、恐れたり臆病になったりするのは当然だ。

先生はこう答えた。
Yさんがやりたいと思うことは何でもしていいです。
走りたかったら走ればいいし、富士山に登りたかったら登ればいい。オリンピックに出たかったら、それは僕はびっくりするけど笑、もちろんそれだけの実力がつけば出たらいい。Yさんを制限するものは何もないんです。
僕は手術をした患者さんを放牧することにしているんです。放牧された羊は自由に駆け回るけど、崖っぷちに来て崖から飛び降りたりしないでしょう?危ないと気づいてちゃんと戻る。
Yさんもやりたいことをやって行きたいとこに行って、もしこれ以上やったらダメだな、と自分で気づいたら止まればいいし、やめればいいんです。

それを聞いたYさんは不安が払拭され、やりたかったヨガをやってみようと、ヨガの世界に飛び込んだ。

Yさんの話は、話を聞いた人たちの心にふんわりと温かな光を灯した。

元来、私たちは自由だ。

目に見えたり見えなかったりするさまざまなもので覆われてるから、束縛されたり不自由を感じたりする。でも本当は私たちを制限するものは何もない。あるとしたらそれは自分自身だ。

自分を閉じ込めるも解放するも、すべての原因は自分自身にある。

そんな哲学的な意味を込めてかそうでないか真意のほどはわからないけど、Yさんの先生は技術云々を抜きにして稀に見る名医だと感じた。この殺伐とした時代、どれだけ患者さんの心に寄り添える先生がいるだろう。
先生の人間力に感服するとともに、先日いきものがかりが活動休止を発表したばかりで、その際「放牧」という言葉が使われたもんだから、今日は余計その言葉が耳に残った。

放牧。

私たちは大いなる大地に解き放たれた動物だ。
十二分に身体を動かすこともできれば、新鮮な外気と日光もたっぷりと受け取ることができる。
身も心も解放し、自身の選択と責任を持った自由な人生を歩んでいこう。

そう再考させられた清々しい朝でした。